
武田友紀さん著 『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』を読みました。
kindle版にて購入しました。
『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』
(Amazon:単行本リンク)
(Amazon:kindle版リンク)
「繊細さん」=HSP とは
本書での「繊細さん」とは、HSPのこと。
アメリカの心理学者であるエレイン・アーロン博士が提唱した Highly Sensitive Person という概念があり、
それが基礎になっているようです。
近年認知されはじめた概念で、身近な著書も出てきています。
場の雰囲気や周囲の環境だけでなく、相手の態度などの機微を
繊細に感じとってしまうがゆえに、疲れやすい、生きづらさを感じている、などといった人。
そうした「繊細さん=HSP」の人たちのセルフケアだけでなく
その気質をむしろ伸び伸びと使っていくためのアイデアが、柔らかい文体で書かれていきます。
僕は「誰しも少なからずそういう要素があるのでは」と思いつつ、それでも気になってこの本を読み始めたのですが、
この本に収められた「HSPあるある」が、まるで自分のことが書いてあるかの如く当てはまってしまったので
「自分もHSPなんだろうなー」と、思うに至りました。
なかでも印象的だったのは、HSPの人にありがちな「休息のとり方」に関する記述です。
HSPに必要な、休息アプローチ
休息というのは、そのアプローチとしては、文字通り体を休める休息もあれば、
その逆のアプローチ、つまりアクティヴにやりたいことを伸び伸びやって過ごす、といった「ストレス発散アプローチ」があります。
一方で、HSPの人がとりがちな休息のスタイルは、また一味異なったもののようです。
それは、一言でいうと、「五感刺激および五感情報の遮断アプローチ」です。
HSPにとっての日常というのは、五感刺激と五感情報の嵐。
それらが自分にとって望ましくない、心地よくないものであるほど、その「繊細さ」がキャパオーバーを起こします。
なので、それらの回復を行うため、例えば
・遮光・遮音カーテンで
・アイマスク・耳栓などで
・刺激の少ない繊維質の衣服に身を包んで
・・・などといったアプローチで、外部刺激・情報を行い「疲弊した五感のリカバリー」を行う必要があるのです。
この「五感刺激および五感情報の遮断アプローチ」による休息は、僕も知らず知らず行ってきたことです。
「HSP」と「共感力」との関係性について、思うこと
HSPは、その繊細さゆえに「共感力が高い」といわれます。
しかしながら・・・
これは僕の体感ですが、HSPの人が真に共感力の高さを発揮するためには、ある課題があるように感じています。
それは、HSPが抱える「”吸” 感力の高さ」です。
僕の体感でいうと
僕はどちらかというと、相手の”言葉が刺さる”というより、その言葉の言葉の間にある沈黙から放たれる
何らかの重苦しい、または不気味なエネルギー感のようなものといった、非言語なところでの
「相手の体感覚」を貰いやすいことに気づくようになりました。
”それ” を、自分でコントロールできず、なすすべもなく吸引、つまり「貰って」しまうのです。
そして、後でその人から話を聴くと、僕が”それ”を貰ってしまった時期が、ちょうど何らかの不健全な状態や、
本人ないしは家族などの何らかの問題に直面している時期だったりします。
そしてこの「”吸”感力」の原因は「自己の体感覚、その輪郭のあいまいさ」にあるような気がしています。
だから今は、自分なりの「”身”理アプローチ」を行って、自己の体感覚の輪郭、そして
自と他の境界感覚を養うことが大切だと思っています。
乗り始めの車に例えるなら、繰り返し乗ることでその車体の前後の長さや、車体の幅といった「車体感覚」が
運転者の意識とリンクするようになることで、運転がしやすくなります。
自分の身体もきっと、同じじゃないかと思います。
自己の体感覚を意識し、輪郭感覚を養い、自他の”地境”を明確にもつことで
自他の混濁がもたらす「”吸”感力」が、健全な「共感力」へと変容するのだと思います。
「わたし」と「あなた」が明瞭に分かれてこそ、「わたし」が「あなた」に共感できるわけなので。
さいごに
話が脱線したかもしれないけれど、「繊細さん=HSP」という気質について書かれた本書は、
この気質を持つ人にとっての自己理解やセルフケア、またその気質を肯定的に発揮していくための
一助となる本として、入門的な一冊ではないかと思います。
『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』
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